- 仕事探し・キャリア準備
障害者雇用でドライバーは可能?配送業務の現実と必要な配慮

この記事の内容
はじめに
障害者雇用において、ドライバーや配送業務の求人は一部の企業でニーズがあります。
特に近距離での社内配送や、軽自動車を使用した宅配・ルート配送などは、比較的採用されやすい傾向にあります。
しかし一方で、「安全性の確保」「体力的な負担」「緊急時の対応」といった観点から、障害のある方をドライバー職に採用することに慎重な企業も少なくありません。企業は顧客の荷物や人命を預かる立場であり、万が一のリスクを考慮して判断しているのです。
本記事では、障害者雇用におけるドライバー職の実態を整理し、働く上での課題や必要な配慮について詳しく解説します。これから配送業務にチャレンジしたい方や、企業の採用担当者にとって参考となる内容を目指しています。
障害者雇用における配送業務の現状
運送業界の人手不足と障害者雇用の可能性
物流業界は慢性的な人手不足に悩まされており、新しい人材確保が急務です。特に2024年問題(時間外労働の上限制限)により、労働時間の短縮と効率化が求められる中、多様な人材の活用に注目が集まっています。
この背景から、障害者雇用の枠を活かしてドライバーを採用する企業も出てきています。
社内配送や軽自動車による配送は求人が多い
障害者がドライバーとして活躍しやすいのは、比較的リスクの少ない 社内配送や軽自動車での近距離配送 です。
例えば、以下のような仕事内容があります。
- 工場や倉庫内での部品や資材の運搬
- 病院や施設内での物品配送
- 軽バンを使用した宅配やルート配送
これらは大型トラックと比べて運転の負担が少なく、荷物の重量も軽いため、障害のある方でも従事しやすい環境といえます。
大型トラックや長距離配送は採用が難しい現実
一方で、大型トラックや長距離輸送ドライバーの仕事は、障害者雇用の対象としては採用が難しいケースが大半です。理由としては以下が挙げられます。
- 車体が大きく、運転に高度な集中力が求められる
- 荷物が重く、積み下ろしの体力が必要
- 長時間運転や夜間勤務が発生する
このため、障害のある方がドライバーを希望する場合は、小型車両での短距離配送や社内業務が現実的な選択肢 となることが多いのです。
ドライバーとして働く上での課題

安全運転の確保(発作・体調不良リスク)
配送業務において最も重要なのは「安全運転」です。
てんかんや突然の発作が起こる可能性のある方は、法律上も免許の更新や運転制限がかかる場合があります。さらに、糖尿病や心疾患などで体調が急変するリスクがある場合、事故につながる危険性も高まります。
そのため、採用企業は健康状態を厳密に確認し、安全を最優先に判断します。
体力・持久力(荷物の積み下ろしや長時間運転)
ドライバーの仕事は運転だけではなく、荷物の積み下ろしを伴うことが多いです。特に宅配や物流業務では、一日に数十件以上の配送をこなすこともあり、持久力や体力が求められます。
腰痛や下肢に障害のある方にとっては、大きなハードルとなる場合があります。
緊急時の対応(事故や体調悪化のときの判断)
配送中に事故や体調悪化が発生した場合、即座に適切な判断と対応が必要です。冷静な判断力や緊急時の連絡体制を整えておくことは、ドライバー業務を続ける上で不可欠です。
夜勤や不規則勤務の負担
特に宅配業界では夜勤や早朝勤務が発生する場合があります。不規則な生活リズムは、精神障害や持病のある方にとって大きな負担となる可能性があり、勤務形態については慎重な検討が必要です。
障害の種類別に考えられる影響
配送業務でドライバーとして働けるかどうかは、障害の種類や程度によって大きく左右されます。ここでは代表的なケースを整理します。
身体障害の場合
車いすを利用している方や下肢に障害がある方は、免許取得や運転補助装置の有無 が働けるかどうかの分かれ道となります。
自動車学校や免許更新の際に「運転可能」と判断されれば、軽自動車や福祉車両を用いて配送業務に従事できる可能性があります。ただし、荷物の積み下ろし作業についてはサポートが必要です。
内部障害の場合
心疾患やてんかんなどの内部障害がある場合は、発作のリスクや体調管理 が採用可否に大きく影響します。
特にてんかんの場合、一定期間発作がないことが免許条件になっており、これを満たしていなければ運転業務は難しいのが現実です。企業側も「安全運転を継続できるか」を慎重に判断します。
精神障害の場合
不安障害やうつ病を抱えている方は、長時間運転の疲労や突発的な対応 が大きな負担となることがあります。
また、勤務シフトが不規則になりやすい配送業務では、生活リズムの乱れが体調悪化の原因になりやすいため、短時間勤務やルート固定などの工夫が必要です。
発達障害の場合
発達障害のある方は、空間認知の苦手さや注意の分散 が運転業務に影響する場合があります。
例えば、交差点での複数の状況判断や、急な割り込みへの対応などがストレス要因になることがあります。慣れたルートでの運転や、荷物量が少ない業務なら安定して働ける可能性があります。
ドライバーとして働ける可能性があるケース

障害があるからといって、必ずしも配送業務が不可能というわけではありません。実際には、仕事内容を限定することで働けるケースも多く存在します。
短距離・社内配送(構内や近隣のみ)
工場や事務所内での物品移動、近隣の店舗間配送などは、短距離かつ限定的な運転で済むため、負担が少なく取り組みやすい業務です。
軽自動車や小型車による配送
大きな車両ではなく、軽バンや小型車 を使った配送であれば運転しやすく、採用の可能性も高くなります。宅配便や小規模ルート配送などが代表例です。
固定ルート配送(慣れやすく負担が少ない)
毎回同じルートを走行する配送は、一度慣れてしまえばストレスが減りやすく、発達障害や不安障害のある方にも適しています。
運転のみで荷物の積み下ろしが少ない業務
荷物の積み下ろしをほとんど伴わない「運転中心の仕事」であれば、体力的負担が少なく働きやすい環境となります。
企業が用意すべき配慮

障害のある方が安全にドライバー業務を続けられるためには、企業側の配慮が欠かせません。以下のような取り組みが現実的です。
体調に応じた勤務シフト調整
体調の波に合わせて勤務時間を柔軟に調整することで、長期的に安定して働ける環境を作れます。
重い荷物の積み下ろし補助
フォークリフトや台車の導入、スタッフによる積み下ろし補助を行うことで、身体的負担を軽減できます。
緊急連絡体制の整備(発作や事故時)
体調急変や事故発生時にすぐ対応できるよう、緊急連絡先やサポート体制を整えておくことは必須です。
定期面談での体調・安全確認
定期的に本人と面談を行い、体調や勤務の負担を確認することで、早期に問題を発見し、トラブルを防ぐことができます。
面接で伝えるべきこと
ドライバーとして働くことを希望する場合、面接では「安全に運転できる人材」であることを明確に伝えることが大切です。企業はリスク管理を重視するため、次の点を整理しておきましょう。
運転歴・事故歴の有無
過去の運転歴や事故歴は必ず確認されるポイントです。
「運転免許を取得してから何年経っているか」「事故や違反の有無」を正直に伝えることで、信頼性を高められます。
体調管理の工夫(服薬・生活習慣)
持病がある場合でも、服薬や生活リズムを整えることで安定して働けている ことを説明できれば、安心材料となります。
運転可能な範囲(距離・時間)
「短距離なら問題ない」「長時間連続運転は避けたい」など、自分が対応できる範囲を具体的に伝えましょう。これにより、企業側は業務内容の調整をしやすくなります。
必要な配慮と自分でできる工夫
「重い荷物は補助が必要」「定期的な休憩で体調を維持できる」など、必要な配慮と自分の努力の両方 を伝えることが、前向きな印象につながります。
ドライバー以外の「配送関連」職種という選択肢
障害のある方が必ずしもハンドルを握る必要はありません。配送業務には、ドライバー以外にも幅広い職種が存在します。
社内での荷物仕分け・検品
倉庫や事務所での仕分け作業は、体力的負担が比較的少なく、正確性や集中力を活かせます。
倉庫での在庫管理・ラベル貼り
在庫数の確認やラベル貼りなどは、ルーティンワークが多く、コツコツ作業が得意な方に向いています。
配送事務(伝票処理、電話対応)
ドライバーをサポートする事務業務も重要です。伝票入力や顧客対応は、PCスキルやコミュニケーション力を活かせる仕事です。
ドライバー補助(同乗サポート)
ドライバーと一緒に行動し、積み下ろしを補助する「助手席でのサポート業務」も選択肢のひとつです。
まとめ|「できる仕事」と「必要な配慮」を整理して伝えることが大切
障害者雇用でドライバー職を希望するのは簡単ではありません。しかし、仕事内容や必要な配慮を整理して具体的に伝えることで、採用の可能性は広がります。
大切なのは「できること」と「できないこと」を正直に分け、自分の工夫や努力も一緒に示すこと。そうすることで企業側も安心して業務を任せられると判断できます。
さらに、「運転」に固執せず、配送関連の仕分け・倉庫作業・事務・補助といった職種も柔軟に選ぶことで、自分に合った働き方が見つかります。障害があるからといって可能性が閉ざされるわけではありません。
「自分にできることを整理し、必要な配慮を前向きに伝えること」こそが、安定就労につながる大切な一歩 なのです。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。








