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障害者雇用の事務職で求められるPCスキルとは?最低限あった方が良いスキル一覧

この記事の内容
はじめに

障害者雇用の求人を見てみると、最も多いのは「事務職」です。体力的な負担が少なく、定型的な作業が多いため、幅広い障害特性に対応しやすい職種として選ばれています。
しかし近年は、企業の人手不足やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れから、事務職にも「一定レベルのPCスキル」を期待する傾向が強まっています。
もちろん、すべての企業が「即戦力レベル」を求めているわけではありません。ただし「基本操作だけで大丈夫」と思って応募すると、採用後にミスマッチが生じる可能性もあります。
本記事では「最低限あった方が良いスキル」に加え、「実際に企業が求めやすいスキル」の両面を整理し、これから事務職を目指す方に向けて解説します。
障害者雇用における事務職の現状
障害者雇用求人の中で事務が多い理由
事務職は、他の職種と比べて肉体的負担が少なく、業務の切り出しがしやすいことから、障害者雇用枠で最も多く募集されています。特に大企業では、データ入力や書類整理などの定型業務を分担する形で配置されるケースが多く見られます。
企業が事務職に期待している役割
企業が障害者雇用で採用する事務職に期待する役割は、大きく次のようなものです。
- データ入力:正確かつ効率的に入力できる力
- 書類作成:報告書・社内資料の作成(フォーマットありの場合も多い)
- メール対応:社内外の連絡をスムーズに行う
- 場合によっては電話対応や調整業務
ただし近年は「単純入力」だけでなく、業務効率化を意識したスキル(Excel関数やデータ整理など)が重視される傾向にあります。
即戦力を求める企業の誤解と現実
これまで障害者雇用では「長く働いてもらえること」が最も重視されてきました。しかし実際には、企業側も人材不足や業務効率化の必要性から「できれば即戦力で活躍してほしい」と考えるケースが増えています。
そのため、「基本スキルさえあれば良い」では不十分な職場も多い のが現状です。
採用の場では、「今できること」に加えて「今後スキルを伸ばしていきたい意欲」を伝えることが重要になります。
最低限あった方が良いPCスキル一覧(+実際に求められるケース)

Word(文書作成の基本)
- 最低限:文書入力、書式設定、印刷、簡単な報告書作成
- 実際に求められることがあるスキル:差し込み印刷、表の作成、体裁を整えたビジネス文書
Excel(表計算ソフトの基本)
- 最低限:データ入力、合計・平均などの計算、基本関数(SUM、IF程度)
- 実際に求められることがあるスキル:VLOOKUP、ピボットテーブル、グラフ作成など、業務効率化に直結する機能
メール(OutlookやGmail)
- 最低限:基本的な送受信、添付ファイルのやりとり
- 実際に求められることがあるスキル:CC・BCCの使い分け、署名設定、ビジネスマナーを踏まえた文章作成
タイピング
- 最低限:ブラインドタッチでなくても良いが、一定のスピードと正確さ
- 実際に求められることがあるスキル:定型文を素早く入力、ショートカットキーの活用による効率化
プラス評価されやすいスキル(あると便利)
最低限のPCスキルがあれば応募は可能ですが、実際の職場では「あると便利」なスキルが評価されやすいです。特にDX化やリモートワークが進む中で、以下のスキルはプラス要素になります。
Excel応用(VLOOKUP、ピボットテーブル)
企業が最も「助かる」と感じるのはExcelの応用スキルです。
- VLOOKUP:複数の表を照合し、必要なデータを引き出す関数
- ピボットテーブル:大量のデータを瞬時に集計・分析できる機能
これらが使えると、単純作業だけでなく「効率化」に貢献でき、即戦力として高評価を得やすくなります。
PowerPoint(資料作成の基礎)
会議資料や報告書を作る際にPowerPointが使えると重宝されます。レイアウトを整える、図表を挿入する、見やすくまとめるといった基礎ができれば十分です。
オンライン会議ツール(Zoom、Teams)
リモートワークやハイブリッド勤務が広がった現在、オンライン会議ツールの基本操作は必須に近いスキルです。ログイン、画面共有、チャット機能の活用ができれば安心です。
クラウドツール(Google Drive、Slack)
- Google Drive:社内外でファイルを共有・共同編集
- Slack:メールに代わるコミュニケーションツール
企業によって利用ツールは異なりますが、基本的な操作を理解しておくと、チームに早く馴染めます。
Canva(デザインツール)
直感的に使えるデザインツールで、プレゼン資料や社内掲示物、SNS用画像の作成に活用できます。デザインの専門知識がなくても「見栄えの良い資料」を作れるため、企画や広報業務をサポートできる人材として評価されやすいです。
MOS(Microsoft Office Specialist)
Word・Excelなどの操作スキルを客観的に証明できる資格です。履歴書に記載すると「PC操作を体系的に学んでいる」と判断され、採用の安心材料になります。特にExcel MOSは事務職希望者に人気です。
ITパスポート
国家資格であり、ITや情報セキュリティ、デジタル社会の基礎知識を証明できます。直接の実務操作スキルではありませんが、DX化に対応できる素養がある人材 として好印象を与えることができます。
スキルが不安でも安心!学べる方法
「PCスキルに自信がない」と感じても大丈夫です。学ぶ方法はたくさん用意されています。
ハローワークの職業訓練
無料または低額で、Word・Excelの基礎から実務応用まで体系的に学べます。資格取得支援がある講座も多いです。
就労移行支援事業所でのPC講座
障害特性に合わせた学習環境で、ビジネスマナーとPCスキルを同時に習得できます。模擬職場訓練を通じて「実務を想定した練習」ができるのも特徴です。
無料・低価格のオンライン学習
- YouTube:無料で基礎から応用まで学べる動画が多数
- Udemy:数千円で本格的な講座を受講可能
- MOS対策講座:資格取得を目指しながら体系的に学べる
自宅でできる独学
- 無料の練習問題サイトでExcel関数やWord文書を練習
- タイピング練習サイトで正確さとスピードを向上
企業に伝えたいポイント

「できること」と「できないこと」を正直に伝える大切さ
面接では、自分ができることだけでなく、苦手なことも正直に伝えることが重要です。曖昧に答えると、入社後に「思っていた業務と違った」というミスマッチを招きやすくなります。
- 良い例:「Wordでの基本的な文書作成はできますが、Excelの関数は現在勉強中です」
- 悪い例:「Excelは一応使えます」と曖昧に答える → 実務で高度な関数を求められ、困ってしまう
「できる範囲」を明確に伝えることで、企業側も業務の切り出し方を調整しやすくなります。
習得意欲があることはプラス評価につながる
スキルが不足していても、「伸ばしていく姿勢」を示せば高く評価されます。
- 面接で使えるフレーズ例:
「今は基本的な操作が中心ですが、VLOOKUPやピボットテーブルは独学で学び始めています」
「資格取得を目指して勉強中です」
企業は「将来的に成長してくれる人材」を求めているため、意欲を伝えるだけで印象が大きく変わります。
配慮事項をセットで伝える
自分の特性や体調面の配慮事項も一緒に伝えることで、入社後の働きやすさにつながります。
- 例1:「長時間の作業で集中力が切れやすいので、1時間ごとに5分程度の休憩があると助かります」
- 例2:「電話対応は苦手ですが、メールでの対応は問題ありません」
「できること+配慮してほしいこと」をセットで伝えると、企業も受け入れ体制を整えやすく、ミスマッチ防止になります。
面接での伝え方の工夫
- 前向きな表現にする:「できない」ではなく「これから学びたい」「工夫すればできる」と伝える
- 具体的に伝える:「Excelは基本操作レベル」ではなく「SUM関数や表作成は可能、VLOOKUPは勉強中」など具体的に言う
こうした伝え方を意識すると、企業側も「業務を任せられる範囲」が明確になり、安心して採用しやすくなります。
実際の事務職での事例紹介
PCスキルに不安があったが、段階的に身につけて就職につながった事例
就労移行支援を利用開始した時点では、タイピングや基本操作に不安がありました。最初の数か月は 文字入力やファイル保存といった基礎を繰り返し練習。その後、Excelの簡単な関数や表作成に挑戦し、半年〜1年をかけて業務に必要な水準に到達しました。
結果として、データ入力や書類整理を中心とした事務補助の仕事に採用され、今では 「正確さ」や「コツコツ取り組む姿勢」 が評価されて安定して働いています。
Excel応用が得意で即戦力となった事例
前職で独学していたExcelのVLOOKUPやピボットテーブルを活かし、大量データの処理を担当。効率化を評価され、正社員登用につながりました。
「最低限のスキル」でも、工夫やサポートで活躍している事例
タイピングは遅いが、正確性が高いことを評価され、請求書チェックや文書校正を担当。上司や同僚のサポートと組み合わせて活躍しています。
まとめ|完璧より「基本」が大事
事務職に求められるPCスキルの土台は、やはり「基本操作」です。
文書作成、表計算、メール送受信、正確なタイピング――これらができるだけでも、日常業務の多くをこなすことができます。
ただし近年はDX化の影響で、Excel応用やクラウドツールなど、効率化につながるスキルを評価する企業も増えている のが現実です。そのため「最低限+α」を意識しておくと、採用や配属で有利になるケースもあります。
一方で、スキルは就職後に伸ばすことも十分可能 です。大切なのは、
- 自分にできる範囲を正直に伝えること
- 苦手な部分は工夫や配慮を相談すること
- 学ぶ意欲を見せること
この3つを押さえるだけで、採用側の安心感も大きく変わります。
企業へのメッセージ
障害者雇用では「今のスキルだけ」で判断するのではなく、伸びしろや意欲をどう引き出せるか という視点が不可欠です。PCスキルは実務を通じて磨かれる部分も多く、育成やOJTで成長できる環境づくりこそが長期定着につながります。
当事者へのメッセージ
PCスキルは一朝一夕で完璧にする必要はありません。あなたのペースで学び続ければ十分に活躍できます。
たとえ最初はExcelの四則演算だけでも、少しずつVLOOKUPやPowerPointを覚えれば、それは立派な成長です。
小さなスキルアップの積み重ねが、自信と働きやすさにつながり、キャリアの選択肢を広げてくれます。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









