2025/08/26
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障害者雇用は一般企業だけじゃない!A型事業所で働くという選択肢

はじめに

「障害者雇用」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは「一般企業での就職」でしょう。もちろん、企業で働くことは大きな目標ですが、体調やスキルの状態によっては、すぐに一般就労を目指すのが難しい場合も少なくありません。

そのようなときに選択肢となるのが「就労継続支援A型事業所」です。A型事業所では雇用契約を結んで働きながら、実務経験やスキルを積み重ねることができます。近年では軽作業だけでなく、PCを使った事務作業やSNS運用、さらには生成AIを活用した業務に取り組む事業所も登場しており、将来的に企業で役立つ力を育てられる環境も整いつつあります。

つまりA型事業所は「一般企業はまだ難しい」と感じている人にとって、働きながら成長できる大切なステップ。事業所側にとっても「利用者が将来に活かせる経験を積める場」を提供することが、選ばれる事業所になるために欠かせない視点といえるでしょう。


就労継続支援A型とは?

制度の概要

就労継続支援A型は、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスです。一般企業での雇用がすぐに難しい障害のある方に対し、雇用契約を結んで就労の機会を提供し、働きながらスキルアップできるようサポートします。労働者としての権利(最低賃金の保証や労働条件の整備)が守られる点が大きな特徴です。

A型とB型の違い

就労継続支援には「A型」と「B型」があり、内容は大きく異なります。

  • A型事業所:雇用契約あり。最低賃金が保証され、労働法に基づいた働き方が可能。
  • B型事業所:雇用契約なし。受け取れるのは「工賃」と呼ばれる報酬で、時給数百円程度が一般的。リハビリや社会参加のステップとして利用されることが多い。

この違いを理解することが、自分に合った就労環境を選ぶ第一歩となります。

A型事業所の対象者

A型事業所の対象となるのは、次のような人です。

  • 一般企業での就労がすぐには難しい
  • しかし「雇用契約を結んで働きたい」という意欲がある
  • 働きながら生活リズムを整え、将来的な就職につなげたい

つまり、完全な一般就労にはまだ不安があるけれど、「働きたい」という気持ちを持つ人にとって最適な選択肢なのです。さらに、事業所側が新しい業務やスキル訓練(例:生成AIやPCスキル)を取り入れることで、利用者が「ここで働いてよかった」と感じ、次のキャリアに活かしやすくなるでしょう。

A型事業所での仕事内容の実際

A型事業所での業務内容は多岐にわたり、地域や事業所ごとに特徴があります。代表的なものは以下のとおりです。

事務補助(データ入力・書類整理)

パソコンを使ったデータ入力や書類整理、ファイリングなど、一般企業の事務職に近い業務を経験できます。基礎的なPC操作を学べるため、次のキャリアにつなげやすいのが特徴です。

軽作業(検品・梱包・清掃)

製品の検品や梱包、清掃業務は、A型事業所で特に多く見られる仕事です。単純作業が多いため、働きやすく安心して取り組めます。一方で、スキルアップやキャリア形成を考えると、業務の幅が限られる点は課題となります。

地域に根ざした仕事(農作業、福祉関連の下請け)

地域に根ざした作業として、農作業や地元企業・福祉施設からの下請け業務も行われています。地域とのつながりを感じられる点が魅力ですが、身体的負担が大きいケースもあるため、自分に合うかどうかを確認することが大切です。

PCやビジネスマナーなど、スキルアップにつながる業務も増加中

近年は、A型事業所の中でも「スキルを身につけられる仕事」に力を入れる動きが出てきています。WordやExcelといった基本的なオフィスソフトだけでなく、SNS運用や動画編集を業務として取り入れる事業所も登場。さらに、生成AIを活用した文章作成やデータ整理など、今後の企業就労でも役立つ分野に挑戦できる環境も一部では整いつつあります。
従来の軽作業中心の業務と比べると数はまだ少ないものの、「働きながら実用的なスキルを習得できる」という点で、利用者にとっても事業所選びの大きなポイントとなっていくでしょう。


A型事業所で働くメリット

最低賃金が保証される安心感

A型事業所は雇用契約を結ぶため、最低賃金が保証されます。「働いた分が確実に収入になる」という安心感は大きなメリットです。

出勤リズムを整えられる(ブランク解消)

A型事業所の勤務時間は、一般的に 1日6時間・週5日(例:9時~16時/昼休憩1時間) が基本となります。これは国の報酬算定要件に基づいて設定されており、A型ではこれを“フルタイム”勤務と考えるのが一般的です。

一方で、体調や生活状況に応じて、週3日や1日4時間程度の勤務からスタートできる事業所もあります。助成金の算定面では課題がある場合もありますが、利用者のペースに合わせて柔軟に対応している事業所も少なくありません。

そのため、休職期間が長くブランクのある人でも、まずは自分の体調に合った勤務から始めて、少しずつ生活リズムを整えていくことができます。

働きながら就労スキルを学べる

単に仕事をするだけでなく、PC操作やビジネスマナーを学べる場としても活用できます。こうした経験は一般企業での就職活動にも役立ちます。

一般企業就労へのステップアップになる

多くの利用者は「A型 → 一般企業」という流れを目指しています。事業所での実務経験は、次の就職活動で大きなアピール材料になります。


A型事業所の課題・注意点

給料水準はフルタイム勤務でも低め

最低賃金は保証されますが、フルタイム勤務でも生活費をカバーするほどの収入には届かないケースが多く見られます。そのため、福祉制度や家族のサポートと組み合わせて生活設計を考える必要があります。

事業所ごとに仕事内容や支援体制に差がある

A型事業所と一口に言っても、提供する仕事内容やサポート体制はさまざまです。軽作業が中心の事業所もあれば、PCスキルや新しい働き方に挑戦できる事業所もあります。見学や体験を通じて「自分に合うかどうか」を確認することが大切です。

長期的に「A型で働き続ける」選択をする人も多い

ステップアップを目指す人がいる一方で、体調や生活環境の理由からA型で長く働き続ける人もいます。「必ず一般就労に進む」という考え方にとらわれず、自分のペースでキャリアを築くことも尊重されるべき選択肢です。

A型から一般就労へつなげる方法

A型事業所は「ゴール」ではなく、「次のステップ」につながる場所でもあります。一般就労を目指す場合は、以下のような取り組みが有効です。

就労移行支援やジョブコーチと併用する

A型で働きながら、就労移行支援事業所を併用するケースも増えています。職場定着をサポートするジョブコーチの支援を受けることで、働き続ける力を強化できます。

企業実習・インターンの活用

事業所を通じて企業実習やインターンに参加できる場合もあります。実際の職場を経験することで、自分に合った働き方や必要なスキルを確認できます。

成功事例

  • A型で毎日の出勤習慣を身につけ、1年後に事務職で一般就労できたケース
  • 軽作業で基礎を積み重ね、製造ラインでの就職につながった例
  • 最近では、PC業務や生成AIを活用した作業を経験し、そのスキルを武器に採用された事例も出てきています

このように、A型を「経験の場」として活用することで、一般就労への道は確実に近づいていきます。


A型事業所を選ぶ際のチェックポイント

事業所ごとに特徴や方針は異なります。自分に合った事業所を選ぶために、次のポイントを確認してみましょう。

仕事内容は自分の希望・特性に合っているか

軽作業中心なのか、事務やPC業務があるのか、希望に合う内容かを確認しましょう。

職員のサポート体制があるか(定着支援・面談)

定期的な面談や職員によるサポート体制が整っているかどうかは、安心して続けられるかに直結します。

一般就労への移行実績はあるか

A型事業所を選ぶ際には、「利用者がどのくらい一般就労に進んでいるか」という移行実績を確認することが大切です。これは事業所のサポート体制や取り組み方を知るための目安になります。

入所を考えている段階で質問しても問題ありません。多くの事業所は実績を公開したり、担当者が丁寧に説明してくれます。もしはっきりした数字がなくても、「どのような支援をしているか」「卒業生がどんな企業に就職しているか」といった具体例を聞くことで、イメージがつかみやすくなります。


見学・体験利用で雰囲気を確かめることが重要

パンフレットや説明資料だけでは、その事業所の雰囲気や職員との関わり方までは分かりません。だからこそ、見学や体験利用は非常に重要です。

多くのA型事業所は、見学や1日体験を希望すれば気軽に対応してくれます。実際に仕事の様子を見たり、職員や利用者と交流してみることで、「ここなら安心して働けそうか」を具体的に判断できます。遠慮せずに問い合わせてみることが、自分に合う事業所と出会う第一歩になります。


まとめ|自分に合った就労のステップを選ぼう

障害者雇用といえば一般企業というイメージが強いですが、実際には「A型事業所」という現実的で大切な選択肢もあります。

A型で経験を積み、一般就労にステップアップする道もあれば、A型で安定して働き続ける道もあります。どちらも正解であり、大切なのは「自分に合った働き方を選ぶこと」です。

そして事業所側にとっても、利用者が「ここで働いてよかった」と思えるような業務やスキル習得の場を提供することが、今後ますます求められていくでしょう。PCスキルや生成AIといった新しい学びを取り入れることは、利用者の将来の可能性を広げ、事業所自体の価値を高めることにもつながります。

💡 求職者へのメッセージ:
「焦らなくても大丈夫です。自分に合った環境で、一歩ずつ経験を積み重ねていきましょう。その選択肢のひとつに、A型事業所があることを忘れないでください。」

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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