2025/08/23
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障害者雇用×ITエンジニア|専門スキルと働き方をどう伝えるか

この記事の内容

はじめに

ITエンジニア職は、障害者雇用の分野においても特にニーズの高い職種です。慢性的なエンジニア不足が続く中で、「スキルをどう評価されるのか」「自分の働き方をどう伝えればいいのか」と不安に感じる方も少なくありません。
本記事では、ITスキルの伝え方・働き方の工夫・面接でのアピール方法を解説し、障害のある方が安心してエンジニア職に挑戦できるようサポートします。


障害者雇用におけるITエンジニアの需要

エンジニア不足と障害者雇用のマッチング

日本ではIT人材の不足が深刻化しており、経済産業省の調査では2030年に最大79万人のIT人材が不足する可能性が指摘されています。この人材不足は障害者雇用にもプラスに働き、専門スキルを持つ人材は積極的に採用されやすい状況です。
たとえば「社内システム開発」や「アプリのテスト業務」など、スキルレベルに応じて活躍できる場が広がっています。

開発・運用・サポートなど幅広い求人がある

ITエンジニアと一口に言っても、その仕事内容は多岐にわたります。

  • 開発系:Webアプリ開発、社内システム構築
  • インフラ系:ネットワークやサーバーの設計・運用
  • サポート系:ヘルプデスク、ユーザー対応、テスト業務

障害の特性に応じて、自分に合った分野を選ぶことが可能です。たとえば、長時間の対人コミュニケーションが負担になる方は「プログラミングやテスト業務」、体力面に配慮が必要な方は「在宅でできる運用・サポート業務」を選ぶといった工夫が考えられます。

在宅勤務やリモートワークの広がりで活躍の場が増えている

コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、障害のある方が自宅でITエンジニアとして活躍する事例が増加しています。
例えば、首都圏の大手SIerでは「完全リモートで在宅勤務が可能なシステム保守チーム」を立ち上げ、地方在住の障害者エンジニアが参加しています。通勤の負担が軽減されることで、安定的に勤務を続けやすい環境が整いつつあります。


ITエンジニアに求められるスキルセット

基本的なPCスキル・プログラミングスキル

Word・Excel・PowerPointなどの基本操作は必須スキルです。加えて、HTMLやCSSといったWeb基礎言語を理解していると、求人の幅が広がります。

開発スキル(Java、Python、C言語など)

本格的な開発を目指すなら、Java・Python・C言語などのプログラミング言語を習得すると有利です。特にPythonはデータ分析やAI関連の需要が高く、学習コストも比較的低いため、障害者雇用でも評価されやすいスキルです。

インフラ・ネットワーク系スキル

クラウドの普及により、AWSやAzureの知識、Linuxサーバーの基礎操作も重宝されます。資格としては「基本情報技術者」「LPIC」「AWS認定」などが評価されやすい例です。

テスト・運用・保守スキル

「開発は未経験だけどITに関わりたい」という方には、システムテストや運用・保守業務が向いています。手順書に従って動作確認をする作業は、正確さや集中力を活かせる仕事であり、障害のある方が活躍している代表的な分野です。

コミュニケーション能力(チーム開発に必要)

エンジニアと聞くと「黙々と作業するイメージ」がありますが、実際にはチームでの情報共有や報告・相談が欠かせません。チャットツール(Slack、Teamsなど)でのやり取りが中心となるため、対面が苦手でも工夫次第で対応しやすい点がメリットです。

障害特性を踏まえた「働き方」の整理

精神障害の場合 → 業務量調整・在宅勤務・ストレスマネジメント

うつ病や不安障害など精神障害のある方は、業務量の調整や在宅勤務の導入が継続就労のカギになります。
たとえば「1日8時間の勤務は難しいが、6時間勤務+週1日リモートワーク」であれば安定して働けるケースもあります。
また、タスクの優先順位を明確にしたり、チャットツールでのコミュニケーションを活用することで、ストレスを軽減できます。

身体障害の場合 → バリアフリー環境・通勤手段・在宅導入の有無

車いす利用者や肢体不自由のある方にとっては、職場のバリアフリー環境や通勤手段の確保が重要です。
具体的には、段差のないオフィス、エレベーター、障害者用トイレの有無が採用の決め手になることもあります。近年はリモートワークが普及しており、「通勤困難でも在宅勤務で開発業務に参加できる」事例が増えています。

発達障害の場合 → タスクを明確に区切る/マニュアル化で対応しやすい

発達障害のある方は「曖昧な指示」にストレスを感じやすいため、タスクを明確に区切り、マニュアル化することが有効です。
例えば、「画面デザインのコーディング」や「テスト項目に沿った検証」など、作業を細分化して指示することで能力を発揮しやすくなります。

勤務時間・通院配慮・リモート環境の必要性

障害の種類にかかわらず、通院のための勤務時間調整は不可欠です。
「週に1回は通院のために早退が必要」「月1回の検査に合わせて有給を使いたい」など、具体的に伝えておくと企業側も柔軟に対応しやすくなります。
また、在宅勤務環境(インターネット回線や作業用PC)の整備も、自分が安定して働ける条件として整理しておきましょう。

在宅勤務だけでなく「客先常駐」の求人も多い

ITエンジニア職の障害者雇用では、リモートワークが選択肢として広がってきている一方で、実際には「客先常駐型」の求人も根強いのが現状です。
常駐先では、対面でのチーム作業や仕様変更の打ち合わせなど、現場での柔軟な対応力が求められるケースもあります。

例:

  • 「システム運用監視のため、客先データセンターに常駐」
  • 「プロジェクトチーム単位で常駐し、進行管理や障害対応に参加」

自分の障害特性に合うかどうか、在宅勤務か客先常駐かの働き方の違いを理解して応募前に確認しておくことが大切です。


面接でのアピール方法

スキルをどう伝えるか

ITエンジニア職の面接では、具体的な開発経験や担当業務を整理して伝えることが重要です。
例:
「Javaで業務システムの改修を担当し、ログイン機能の追加を行った」
「Pythonを使ったデータ分析で、売上予測モデルの作成を経験した」
このように「使用言語+担当内容」を明確に伝えると、企業側もスキルレベルを判断しやすくなります。

ポートフォリオやGitHubの活用

プログラムの成果物をポートフォリオにまとめたり、GitHubでコードを公開するのも効果的です。
採用担当者は履歴書だけではスキルを把握しづらいため、実際のコードや成果物を見せることで大きなアピールになります。

障害特性と配慮事項のバランスを伝える

「できること」と「配慮が必要なこと」の両方をバランスよく伝えることが大切です。
例えば「通院で月1回半休が必要ですが、在宅勤務と組み合わせることで安定して勤務できます」と具体的に伝えると、企業も安心して受け入れやすくなります。

長期的に働きたい意思を示す

障害者雇用の面接では、長期的に勤務できる意欲を示すことが評価につながります。
「継続してスキルを伸ばし、チームに貢献したい」「資格取得を通してキャリアを積みたい」と伝えると、企業は将来的な成長を期待できます。


企業が評価するポイント

即戦力スキルより「成長意欲」「学習姿勢」

多くの企業は、入社時点でのスキル以上に「学び続ける姿勢」を重視しています。特にIT業界は技術が進化するスピードが速いため、「最新技術をキャッチアップできるか」が長期的な活躍の鍵です。

障害特性を理解し、適切な配慮を求められるか

企業は「障害特性を正しく理解しているか」「必要な配慮を具体的に伝えられるか」を重視します。過剰な配慮を求めず、働ける条件を整理して伝えることが信頼につながります。

チームで協働できるかどうか

エンジニアは個人作業の比重が大きい一方で、チーム開発や運用での協働も不可欠です。
「報告・連絡・相談ができる」「チャットやドキュメントで情報共有ができる」といった協働力は、スキルと同じくらい企業が評価するポイントです。

就職・転職活動の進め方

障害者雇用枠の求人サイト・転職エージェントを活用

まずは障害者雇用専用の求人サイト転職エージェントを活用しましょう。一般求人では配慮の内容が明確にされていないケースも多いため、障害者雇用枠の求人にアクセスできるサービスを使うと安心です。

ITエンジニア専門のキャリア支援

ITエンジニアに特化した支援サービスも増えています。
エンジニア求人や障害者向けの教育プログラムを提供しており、スキルアップと就労支援を同時に受けられるのが特徴です。

ハローワーク・就労移行支援との併用

地域のハローワークには「障害者専門窓口」が設置されており、求人検索だけでなく職場実習の紹介や面接同行などのサポートも受けられます。
また、就労移行支援事業所を活用すれば、スキル習得・模擬面接・職場実習などを通して自信をつけることができます。

模擬面接やスキルアセスメントで自分を客観視

自分の強み・弱みを客観視することは大切です。模擬面接やスキルアセスメントを受けると、「面接での伝え方」や「実際のスキルレベル」が明確になり、本番での説得力が増します。


成功事例紹介

在宅勤務で活躍している精神障害のエンジニア

ある精神障害のあるエンジニアは、在宅勤務を導入することで体調を安定させつつ、社内システムの保守運用で活躍しています。チャットやオンライン会議でこまめに報告することで、信頼を得ながら3年以上継続勤務を実現しました。

バリアフリー職場で勤務している身体障害のエンジニア

車いすを利用するエンジニアは、段差のないオフィスや昇降デスクなどのバリアフリー環境が整った企業に就職。通勤時には会社が駐車場を確保し、安心して出社できる環境が整ったことで、設計開発チームの中心メンバーとして活躍しています。

タスク管理の工夫で成果を出している発達障害のエンジニア

発達障害のあるエンジニアは、タスク管理アプリを使って「作業を細分化し、1つずつ完了させる」工夫を実践。集中力を活かしてプログラムのテスト工程で高評価を得ており、プロジェクトごとに重要な役割を任されるようになりました。


まとめ|スキルと働き方を正しく伝えることがカギ

ITエンジニア職は、障害者雇用の中でも専門スキルが評価されやすい分野です。しかし、採用が左右されるのはスキルそのものだけでなく、働き方をどう伝えるかにかかっています。

  • 「自分ができること」
  • 「必要な配慮」
  • 「長期的に働く意欲」

これらを整理して誠実に伝えることで、企業も安心して採用に踏み切ることができます。

そして何より大切なのは、あなたのスキルや経験は社会に必要とされているということです。
在宅勤務でも、客先常駐でも、リモートと対面を組み合わせる働き方でも、可能性は必ずあります。障害があるからといって選択肢が狭まるのではなく、「自分らしい働き方」を企業と一緒に創っていくことこそが、長く活躍できる未来への第一歩です。
挑戦を恐れず、自分の力を信じてください。あなたのスキルは、必ず誰かの役に立ちます。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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