- お役立ち情報
- 仕事探し・キャリア準備
50代からの障害と介護のダブルケア|現実と乗り越えるための支援策

はじめに

50代は「働き盛り」と呼ばれる一方で、人生の大きな転機を迎える年代でもあります。
仕事では責任ある立場を任され、家庭では子どもの独立や教育費の負担が一段落する頃。しかし同時に、自分自身の体調不良や病気のリスクが高まり、さらに親の介護が本格的に始まる時期でもあります。
こうして「自分の障害や持病」と「親の介護」を同時に担う状況を ダブルケア と呼びます。
かつては珍しいケースと思われていましたが、近年は高齢化や生活習慣病の増加により、50代でダブルケアに直面する人が急増しています。
実際に、
- 脳卒中や心疾患の後遺症で自分の生活にも支援が必要になる
- 80代を超えた親の認知症や身体の衰えで介護が始まる
- そのうえで仕事の責任も重く、経済的にも余裕がない
という「三重苦」に直面する人は少なくありません。
ダブルケアは決して特別なことではなく、誰にでも起こり得る“現実的な社会課題”です。
本記事では、50代からの障害と介護のダブルケアの実情と、制度や生活の工夫を通じて負担を軽減する方法を詳しく解説します。
50代に増える「ダブルケア」の現実
障害発症のリスク(脳卒中・心疾患・がん治療後など)
50代は生活習慣病の影響が表れやすく、脳卒中や心疾患の発症リスクが高まります。また、がんの治療後に後遺症が残り、障害と向き合いながら生活する人も少なくありません。
親の高齢化に伴う介護の始まり
親が80代に差し掛かると、認知症や身体機能の低下によって介護が必要になるケースが増えます。突発的に介護が始まり、準備が整わないまま生活が一変することもあります。
仕事・家族・自分の健康が同時に重なる「三重苦」
働きながら障害や介護を担うと、仕事の成果、家庭の責任、自分自身の健康管理が重なり「三重苦」となるケースが多いです。これにより、心身へのストレスが限界に達しやすくなります。
障害と介護を同時に抱える人が直面する課題

仕事との両立(休職・時短勤務・在宅勤務の必要性)
ダブルケアは日常生活だけでなく、働き方にも大きな影響を与えます。
フルタイム勤務を続けることが難しくなり、時短勤務・在宅勤務・柔軟なシフト調整 が欠かせません。
しかし、制度が整っていても職場の理解が不十分だと「迷惑をかけているのでは」と感じ、休暇取得や働き方の相談をためらってしまうケースもあります。結果的に人材の離職や生産性低下につながり、企業にとっても損失になります。
👉 企業側にとっても、介護や障害に配慮した勤務制度を導入することは「一人の社員を守る施策」ではなく、組織全体の安定性や人材定着率を高める投資 だと言えます。
経済的負担(医療費・介護費・収入減少)
医療費と介護費が同時に発生すると、家計に大きな負担がのしかかります。
- 自分の通院・治療費
- 親の介護サービス利用料
- 必要に応じた住宅改修(バリアフリー工事など)
これらが重なる一方で、勤務時間の短縮や休職による収入減少も避けられません。
特に50代は教育費や住宅ローンの支払いが残っている世代でもあり、経済的リスクは非常に高いのです。
👉 企業が経済的支援や福利厚生制度(例:介護費用補助や企業独自の休暇制度)を整えることで、社員の安心感が増し、長期的な就労継続につながります。
精神的ストレス(孤独感・燃え尽き症候群)
「自分の障害と親の介護を両立させなければ」というプレッシャーは、心身に強いストレスを与えます。
孤独感や無力感からうつ症状が出たり、介護うつや燃え尽き症候群になるケースも少なくありません。
精神的に追い込まれると、本人だけでなく家族や職場にも影響が及び、仕事への集中力やチームワークの低下を招くこともあります。
👉 企業としては、メンタルヘルスの相談窓口やカウンセリング体制を整えることが大切です。
個人にとっても、地域の相談機関や同じ立場の人が集うピアサポートを活用することで「自分だけではない」と感じ、精神的に大きな支えとなります。
制度を活用した負担軽減
障害者手帳と障害年金の活用
自身に障害がある場合は、まず 障害者手帳 と 障害年金 の制度を確認しましょう。
障害者手帳を取得すると、医療費の助成、交通機関の割引、税制優遇など、生活全体を支える支援が受けられます。
さらに障害年金は、仕事を続けながらでも申請でき、収入減少を補う大きな助けになります。
👉 申請には診断書などの医師の証明が必要であり、手続きは煩雑になりがちです。社会保険労務士や地域の相談窓口を活用すればスムーズに進めやすいでしょう。
介護保険サービス(デイサービス・ショートステイ)
親の介護には、介護保険制度 を利用することが不可欠です。
デイサービスでは日中の介護や機能訓練を受けられ、介護者はその間に仕事や休養の時間を確保できます。ショートステイを利用すれば、数日間親を施設で預かってもらえるため、出張や休養時にも安心です。
また、ケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成することで、在宅介護と外部サービスを上手に組み合わせ、負担を軽減できます。
仕事との両立支援(介護休暇・障害者雇用制度)
介護や障害を抱えながら働き続けるためには、職場での制度活用 が重要です。
労働基準法では、介護休暇や介護休業制度が整備されており、一定期間は収入を確保しながら親のケアに専念できます。短時間勤務や在宅勤務を導入している企業も増えており、上司や人事部に相談することが第一歩です。
また、自身に障害がある場合は、障害者雇用制度 を活用することで、働きやすい職場環境を整えてもらえる可能性があります。就労移行支援やハローワークの専門窓口を通じて、再就職や転職を検討することも選択肢のひとつです。
ダブルケアを乗り越えるための生活工夫
家事・介護の外部委託(訪問介護・家事代行)
介護や家事を一人で背負い込むと、心身の負担が大きくなり、長期的に続けるのは難しくなります。そこで有効なのが「外部委託」の活用です。
訪問介護(ホームヘルプ) は介護保険の対象で、食事づくりや掃除、買い物など日常生活の援助を受けられます。介護度に応じて一部自己負担(1割〜3割)で利用できるため、比較的現実的に取り入れやすいサービスです。
一方で、民間の家事代行サービス は介護保険の対象外となるため全額自己負担です。利用料金は高めですが、「掃除だけ」「買い物だけ」と限定的に依頼したり、必要な時だけ短時間利用することで、経済的な負担を抑えながら使うことも可能です。
👉 大切なのは「全部を任せる」のではなく、一番負担になっている家事だけ切り出して外注する という考え方です。これにより、体力や時間に少しでも余裕が生まれ、介護や仕事に集中できる環境を整えやすくなります。
家族や地域との協力体制を築く
兄弟姉妹や配偶者と役割を分担したり、地域包括支援センターを通じて地域の支援を得ることも有効です。協力体制を作ることで孤立を防ぎます。
ICT・福祉機器の活用(見守りセンサー、介護アプリなど)
近年はテクノロジーの進化により、介護や生活支援を助ける ICT機器や福祉用具 が数多く登場しています。これらを上手に活用することで、介護する側・される側の双方の負担を大きく減らすことが可能です。
たとえば、
- 見守りセンサー:夜間の離床や転倒を検知して家族のスマホに通知。離れて暮らしていても安心できます。
- 介護アプリ:服薬管理、体調の記録、介護スケジュールを家族間で共有でき、連絡の手間を減らせます。
- 遠隔カメラ・スマートスピーカー:在宅介護中の親と映像や音声でつながり、安否確認や声かけが簡単に行えます。
- 自動排泄処理装置や電動ベッド:身体介助の負担を軽減し、介護者の腰痛予防にもつながります。
これらは「高額で難しいもの」と思われがちですが、自治体によっては 福祉用具の貸与や購入補助 が受けられるケースもあります。また、介護保険の適用範囲に含まれる機器も多く、自己負担を抑えて導入できることもあります。
👉 大切なのは、「すべてをテクノロジーに置き換える」のではなく、自分の負担が特に大きい部分だけをICTで補う という考え方です。例えば「夜間の見守りだけセンサーに任せる」「服薬管理だけアプリで共有する」といった小さな導入からでも、生活の安心感は大きく変わります。
50代から考える「将来設計」

キャリアの見直しと再就職支援
50代でダブルケアを経験すると、これまでの働き方やキャリアを見直すきっかけになります。
介護や通院に時間を割く必要がある場合、フルタイムから短時間勤務への転換 や、在宅ワークや副業 を組み合わせた柔軟な働き方を検討するのも現実的です。
また、近年は国や自治体、民間団体による 再就職支援・職業訓練制度 が充実しています。介護の経験を活かして福祉分野で働いたり、ICTスキルを身につけて在宅ワークに挑戦するなど、新しいキャリアを築く選択肢が広がっています。
👉 ポイントは「今の自分に合った働き方」を模索すること。無理に過去のキャリアに固執せず、柔軟に軌道修正することが、ダブルケアを乗り越えた後の安定につながります。
資金計画と生活防衛
介護や医療費は年々増えていく傾向にあります。特に50代は教育費や住宅ローンが重なる時期でもあり、早めの資金計画 が欠かせません。
- 家計簿アプリや家計管理ツールで支出を「見える化」する
- 不要な保険や契約を整理し、本当に必要な保障だけ残す
- 介護費用に備えて、少額からでも積立を始める
これらを意識するだけで「将来の不安」が軽減されます。
また、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士に相談することで、公的制度を最大限活用した生活防衛プラン を立てることも可能です。
自分のケアを後回しにしない重要性
ダブルケアを担う人が陥りがちなのが、「自分のことは後回し」。
しかし、自分の体調やメンタルを崩してしまうと、介護も仕事も続けられなくなります。
- 定期的な健康診断や人間ドックを受ける
- 睡眠と食事のリズムを整える
- 趣味やリフレッシュの時間を意識的に確保する
こうしたセルフケアは決して贅沢ではなく、家族を守るために必要な準備 です。
「自分が健康であることこそ、最大の支援」という意識を持つことが、長期的なダブルケアを乗り越えるための土台となります。
まとめ
50代から直面する「障害と介護のダブルケア」は、決して特別な出来事ではなく、誰にでも起こり得る現実です。
自分の体調不良や障害に向き合いながら、親の介護を担い、さらに仕事も続ける…。まさに三重苦とも言える状況ですが、制度や支援を正しく活用し、生活の工夫を取り入れることで、負担を軽減することは可能です。
- 障害者手帳や障害年金、介護保険などの 公的制度を積極的に使うこと
- 仕事では介護休暇や在宅勤務制度を利用し、職場と建設的に話し合うこと
- 家事や介護を一人で抱え込まず、地域やICT機器に 部分的に委ねること
- そして何より、自分自身の健康管理をおろそかにせず、長く続けられる体制を整えること
これらを実践することで、ダブルケアは「孤独な重荷」ではなく、「周囲と共に乗り越えていける課題」へと変わります。読者のみなさんに伝えたいのは、「助けを借りることは弱さではなく、生活を守るための賢い選択」 だということです。
一人で抱え込まず、制度・職場・家族・地域とつながりながら、持続可能な働き方と暮らし方を築いていきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







