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ASDと製造職の相性は?向いている工程・避けた方がよい工程を解説

この記事の内容
はじめに
製造業は、日本における障害者雇用の受け入れ先として大きな割合を占めています。特にライン作業や部品加工など、工程が明確で繰り返しが多い仕事は、安定した雇用の場として選ばれることが少なくありません。
一方で、ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方にとって、製造職は「向いている部分」と「苦手に感じやすい部分」が分かれやすい職種でもあります。
「集中力や正確さを活かせる工程はどこか?」
「逆に避けた方がよい工程は?」
本記事では、ASDと製造職の相性を多角的に解説し、就職・転職を考える方や企業担当者が参考にできる情報をまとめます。
ASDの特性と製造職の関係

ASDの強み(集中力・正確さ・こだわり)
ASDのある方は、特定の作業や分野に強い集中力を発揮することが多く、細かい手順を正確に繰り返す作業を得意とします。また「こだわり」を持って取り組む姿勢は、品質を重視する製造業において大きな強みになります。
例えば、
- 部品の検品や仕分け作業
- ネジ締めやはんだ付けなどの繊細な作業
- 同じ工程を繰り返すルーチンワーク
といった業務では、ASD特性の「正確さ」が高く評価されやすいです。
ASDの弱み(臨機応変さ・マルチタスク・コミュニケーション)
一方で、ASDの特性として「状況の急な変化に弱い」「同時に複数の作業を進めるのが難しい」「対人コミュニケーションが負担になる」といった面が挙げられます。
製造現場では突発的な機械トラブルや工程変更が発生することもあり、柔軟な対応を求められる場面では負担が大きくなる場合があります。また、作業中に頻繁な声かけや指示変更がある職場では、ストレスを感じやすい傾向があります。
製造現場の特徴(反復作業/工程管理/安全ルール/シフト制)
製造現場の特徴を整理すると、以下のような側面があります。
- 反復作業が多い → ASDの強みを発揮しやすい
- 工程管理が徹底している → 明確な手順があるため安心しやすい
- 安全ルールが厳格 → マニュアルに沿えばトラブルを回避できる
- シフト制・夜勤あり → 生活リズムの変化が負担になりやすい
相性が良い部分 → ルーチン・反復作業
単純作業や手順が明確に決まっている工程は、ASD特性を持つ方にとって安心して取り組める仕事です。品質検査、組立工程の一部など「決まったことを正確に繰り返す」作業は得意分野といえるでしょう。
相性が悪い部分 → 突発対応・夜勤・多人数連携
逆に、夜勤やシフトによる生活リズムの乱れ、大人数での連携が必要な工程、また突発的なトラブル対応が多い工程は負担になりやすいです。就職前に仕事内容を確認し、無理のない範囲で働ける環境を選ぶことが重要です。
向いている工程作業の例
検品作業(細かいミスを見逃さない)
ASDの特性を持つ方は、集中力と観察力を発揮できる場面が多く、製品の検品工程で力を発揮しやすいとされています。小さな傷や異常を正確に見つける作業は「こだわりの強さ」や「細部への注意力」が活きる仕事です。品質管理に直結する工程であり、企業にとっても重要な役割を担えます。
部品の組み立て(手順を繰り返す)
部品の組み立ては、マニュアルに沿って手順を繰り返すことが基本です。ASDの方が得意とする「ルーチン作業」「決まった手順を守る力」が活きやすく、安定した成果を出しやすい分野です。特に精密機器や電子部品の組み立ては、集中力の高さが大きな武器になります。
製品の梱包・ラベル貼り(ルール化されやすい)
梱包やラベル貼りといった工程は「作業手順が明確でルール化されやすい」ため、ASDの方が安心して取り組める仕事です。決まった形に合わせて作業を繰り返すため、慣れると効率よく進められるようになります。
実際の成功事例 → ASD人材が「検品で不良品検出率を向上させた」
ある製造企業では、ASDの特性を持つ従業員を検品工程に配置したところ、不良品の検出率が大幅に改善したという報告があります。細部への集中力を強みに変えたことで、企業の品質向上にもつながった好例です。
避けた方がよい工程作業の例

ラインリーダーや段取り替え(突発対応が多い)
製造ラインのリーダー業務や段取り替えは、突発的なトラブル対応や周囲とのコミュニケーションが頻繁に求められます。ASDの方にとっては負担が大きく、強みを発揮しにくい工程です。
重機操作や危険作業(安全上のリスク)
フォークリフトや大型機械を扱う工程は、臨機応変な判断や危険回避能力が必要です。わずかな判断ミスが重大事故につながるため、安全面を考慮すると避けた方が望ましい場合があります。
夜勤・交代制勤務(睡眠リズムが崩れやすく不調を招く)
夜勤や交代制勤務は、生活リズムが崩れやすく、体調管理に負担をかけます。特にASDの方は環境の変化に敏感なため、夜勤を続けることで不調や離職につながるリスクがあります。
実際の課題事例 → 夜勤シフトで体調を崩し、定着しなかったケース
ある工場では、ASDのある従業員が夜勤シフトに入り続けた結果、睡眠リズムの乱れから体調を崩し、継続勤務が難しくなった事例がありました。このように「相性の悪い工程」に配置すると、本人にも企業にも負担がかかってしまいます。
製造ラインにASDを配置する課題と現実
休んだ場合の対応
ライン作業は人員が欠けると即「生産ストップ」につながるため、休んだ場合の対応が重要です。補助人員を配置したり、代替体制をあらかじめ整備することが求められます。
配置しにくい理由
製造業は生産計画に合わせて柔軟な対応を求められることが多く、突発的な工程変更も日常的に発生します。ASDの特性を持つ方にとって、こうした環境変化は大きなストレスになり得るため、配置に慎重さが必要です。
それでも配置する工夫
- 固定工程を任せる → 環境変化が少ない安定した作業を担当してもらう
- 作業を細分化して責任範囲を明確化する → あいまいさを減らし、安心して作業に集中できるようにする
このような工夫をすることで、ASDの方が製造ラインで活躍できる可能性は大きく広がります。
ASD人材を活かすための工夫事例

マニュアルの工夫(写真・色分けで工程を見える化)
文章だけの手順書では理解が難しい場合があります。写真やイラストを添付し、さらに色分けや番号付けをして「視覚的にわかりやすいマニュアル」にすることで、ASDの方が安心して作業を進められるようになります。
チェックリストの活用(抜け漏れ防止)
工程ごとに「やることリスト」を作成し、終わったらチェックを入れる仕組みを取り入れると、作業の抜け漏れを防げます。ルールや手順を明確に見える化することで、本人の安心感も高まり、品質の安定につながります。
静かな作業場所の確保(感覚過敏への配慮)
感覚過敏を持つASDの方にとって、騒音や強い光は大きな負担となります。静かな作業場所や仕切りを設けるなど、環境面での工夫をすることで集中力を維持しやすくなります。
支援員・ジョブコーチの導入で定着率アップ
ジョブコーチや支援員が定期的にフォローに入ることで、困りごとを早期に解決しやすくなります。企業にとっても離職防止につながり、安心して長く働ける環境を整えることができます。
企業事例 → 「同じ作業を固定的に任せた結果、精度とスピードが向上」
ある工場では、ASDの従業員に工程変更の少ない作業を固定的に任せたところ、作業精度と処理スピードが向上しました。本人にとっても安定して取り組める環境となり、結果として企業の生産性アップに貢献しました。
採用成功事例と企業の視点
成功事例:検品ラインで活躍し、定着率が向上したケース
検品工程にASDの方を配置した企業では、不良品検出率が上がり、品質管理に大きな改善が見られました。同時に、得意分野で力を発揮できるため本人の満足度も高く、長期定着につながっています。
企業が得たメリット(品質向上/離職率低下)
- 品質の安定・不良率低下
- 作業効率の向上
- 離職率の低下による採用コスト削減
といった成果が報告されており、企業にとっても「戦力」としての価値が大きいことがわかります。
採用時のポイント
- 「即戦力」より「適材適所」を重視
- 配慮体制を整えれば戦力化は十分可能
採用面接では本人の特性や得意分野を丁寧に確認し、企業側が適切な工程に配置できるよう工夫することが成功のカギとなります。
まとめ|ASDと製造職の可能性
ASDのある方にとって、製造職には「合う部分」と「難しい部分」の両方があります。しかし、適した工程に配置し、マニュアルや環境の工夫を加えることで、大きな力を発揮できる可能性があります。
企業にとっても、品質改善や定着率向上といったメリットがあり、障害者雇用の成功事例として広がりつつあります。読者へのメッセージ
特性を理解し、工夫を重ねることで、ASD人材は製造業において確かな戦力となり得ます。本人にとっても「安心して長く働ける環境」が実現すれば、企業・従業員双方にとってプラスの関係を築くことができるでしょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







