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PTSDのある人が働きやすい職種・避けたい仕事・職場での工夫

この記事の内容
はじめに
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、過去の外傷体験が原因で、特定の状況や刺激によって強い恐怖や不安が再びよみがえる精神的な障害です。症状の程度や内容は人によって異なりますが、就労の場面では集中力の低下、突発的な発作、対人関係の緊張など、さまざまな課題が生じることがあります。
一方で、適切な職場環境や働き方を選び、必要な配慮を受けながら働くことで、安定して仕事を続けられるケースも少なくありません。
本記事では、PTSDがある人に向いている職場環境や仕事内容、避けたほうがよい職種、職場での工夫について具体例を交えながら解説します。
仕事で起こりやすい困りごと

トリガー(発作の引き金)との遭遇
PTSDの方にとって、トラウマ体験を連想させる音・匂い・光景などは発作(フラッシュバック)の引き金となります。
例えば、交通事故の被害経験がある方が車のクラクションやタイヤの急ブレーキ音を聞くと、事故当時の映像や感情が蘇り、動悸や呼吸困難を感じることがあります。
こうした状況が頻繁に発生する職場では、精神的な負担が大きく、業務継続が難しくなる可能性があります。
集中力・記憶力の低下
PTSDは脳の情報処理に影響を与えるため、短期記憶や集中力が低下することがあります。
- 指示を聞いた直後に内容を忘れてしまう
- 複数のタスクを同時に進めるのが困難
- 注意力が散漫になり、作業ミスが増える
このような場合は、指示を文書化してもらう・作業手順を一覧化するといった工夫が効果的です。
対人関係での緊張
職場での人間関係は、PTSDの方にとって大きなストレス源になり得ます。特に、上司や同僚との接触で威圧的な態度や予期せぬ接近があると、不安や過覚醒症状が強まります。
対人緊張を軽減するには、パーソナルスペースを尊重してくれる職場や、穏やかなコミュニケーション文化のある環境が望ましいです。
向いている職場環境

静かで落ち着いた職場
- 騒音や人の出入りが少ない
- 強い匂いや刺激が少ない
- 集中して作業できる環境
例:小規模事務所、図書館、資料室など
業務内容が明確
作業工程や納期が明確で、突発的な対応が少ない職場は、精神的な負担を軽減します。
- 作業マニュアルが整備されている
- 業務範囲がはっきりしている
- 業務変更が事前に共有される
在宅勤務や時短勤務
通勤や長時間勤務による疲労を減らし、自分のペースで働けます。特に在宅勤務は、トリガーとなる外部刺激を回避しやすい点がメリットです。
例:ライティング、データ入力
- Webライター:自宅で作業可能、集中できる時間帯を選べる
- データ入力:単純かつ明確な作業内容で、突発対応が少ない
避けたほうがよい職種
PTSDの症状を悪化させるリスクが高い職種は、可能な限り避けることが望ましいです。
高ストレス・緊張状態が多い仕事
- 常に緊張感を強いられる警備、消防、救急業務
- クレーム対応や対人トラブルが多発する接客業やコールセンター
- 精神的な負担が大きいカスタマーサポート業務
例:過覚醒症状を抱えている場合、警報音や緊急対応は心身への負担が非常に大きくなります。
突発対応が頻発する仕事
- 飲食店や小売店の現場
- イベント運営や物流業務など、急なスケジュール変更が多い職場
- 緊急度の高い医療現場や報道業界
突発的な対応は予測不能なストレス源となり、発作や集中力低下のリスクを高めます。
過去のトラウマを連想させる職種
- 交通事故経験者が運転業務に就く
- 犯罪被害経験者が警察や刑務関係の業務に携わる
- 災害被災経験者が災害現場に関わる業務に就く
トラウマに直結する職種は、回復の妨げになる場合があります。
働き続けるための工夫

トリガーを職場に共有
- 信頼できる上司や人事担当者に、自分のトリガーとその時の対処法を説明しておく
- 「大きな音に弱い」「人混みで不安が強くなる」など、具体的に伝える
- 可能であれば配慮事項を文書化して共有
業務スケジュールの調整
- 集中力が高い時間帯に重要な作業を割り当てる
- 発作が出やすい時期や時間帯は負荷を軽減
- 無理のない納期設定を依頼する
リラックス法の活用
- グラウンディング(今ここに意識を戻す)や深呼吸法
- 軽いストレッチや音楽を使った休憩
- 休憩スペースや静かな場所の確保
支援制度
障害者雇用枠
- 精神障害者保健福祉手帳を取得することで利用可能
- 配慮のある職場や勤務条件で働けるチャンスが増える
ジョブコーチ制度
- 専門スタッフが職場に訪問し、本人と企業の双方をサポート
- 定着支援やコミュニケーションの仲介も行う
メンタルヘルス研修の活用
- 企業内研修で上司・同僚が精神障害について理解を深められる
- 職場全体での配慮意識を高めることで、働きやすい環境を構築可能
まとめ
PTSDがあっても、適職と職場の理解・配慮があれば長期的に安定して働くことは十分可能です。
大切なのは、自分の症状やトリガーを把握し、それを周囲と共有して働き方を調整すること。そして、必要なときには支援制度や専門家の力を借りることです。
「助けを求めることは弱さではなく、長く働き続けるための戦略」です。あなたの経験やスキルは、必ず活かせる場所があります。焦らず、自分に合った働き方を探していきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









